« 花畑 | トップページ | 湯の泉 »

2007年4月 7日 (土)

長野の温泉

所属するツーリングクラブでは年に一度泊りがけで温泉ツーリングに出かける。宴会で大騒ぎする我々は、他の泊り客に迷惑が掛からぬように貸切に出来るような小さな宿が選ぶことが多い。

その日は、行程が遅れて暗くなってから宿に到着した。一通り宴会で騒いだ後、三々五々部屋に戻って行った。宴会前に河原の露天風呂に行き損ねた私は、酔い覚ましついでに行くことにした。誰か誘おうと思ったが、階下に下りる階段までの部屋にみんなの姿は無かった。”みんな風呂にでも行ってるのかな?”と思いつつ、宿の玄関を出て河原へと降りていった。

辺りは月明かりと街燈だけ、露天風呂はあの辺りかな?と思える辺りに小さな明かりが一つだけ見える。草原の中の踏み跡を明かりに向かって歩いていくと脱衣場があり軒に明かりが点いている。その向こう側が湯船のようだが、軒の電燈のお陰で良く見えなかった。でも人の気配もあるし、何人かの人影も動いている。脱衣場の籠に浴衣を脱いで、何時もそうするように”お邪魔します”と言って湯船に足を入れようとした時だった。人影が一斉に振り向いた、いや、ように見えた。その瞬間、人影はさっと消えうせ、聞こえるのは向こうを流れているだろう川音だけになった。

”またか。”

湯船につかり、暗闇になれてきた目には、かなり広い湯船だが向こう側まで見渡せる。やはり誰も居ない。

”籠が全部空っぽのところで気付くんだったなあ”

ここは穂高山麓、でもまあ考えまい。いままで一度も彼らに悪さをされたことは無いのだから。

|

« 花畑 | トップページ | 湯の泉 »

ちょっと怖い話」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 長野の温泉:

« 花畑 | トップページ | 湯の泉 »