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2007年4月20日 (金)

伊豆の温泉

22歳の時、職場の仲間5人で伊豆の温泉に行った。宿は温泉街から海岸段丘を上がった高台の海沿いにあった。宿のパンフレットには、”窓から眼下に広がる海を一望できる”とあった。
案内された部屋の入り口に立ったとき、ある種の異様な雰囲気を感じて立ち止まってしまった。

”ここには入っちゃいけない”

そう感じた。”何してんの?早く入ってよ!”と先頭に立っていた私は中に押し込まれてしまった。でも、その瞬間にその雰囲気は消えた。仲間達は荷物を投げ捨て、”海を一望できる”窓に向かって駆け寄って行った。”うわー、凄ーい!真下は岩場で直ぐ海よ。”とか”天気が良くて良かったわよねー!ねえー向こうに見える島は大島かな?”とか言っているのが聞こえる。
一人取り残され、喉が渇いていた私は、座布団に座り、お茶でも入れようかとテーブルの上のポットから急須にお湯を注ごうとしていた。”タイちゃんもおいでよ!”と声を掛けられて窓の方を見たとき、窓の右上の方に先ほど感じたのと同じ異様な雰囲気がそこにはあった。

”そこには近寄っちゃいけない”

と感じた。結局私は、窓に近づけなかった。

温泉に漬かり、夕食でアルコールの入った私達は温泉街のメインストリートに繰り出した。メインストリートとは名ばかりの寂しい感じのする緩い坂道を下っていくと、通りの右側でどう見ても一等地と思える場所が工事中で囲いがしてある。建物を見ると旧館と新館の間のところがすすこげて見える。”火事にでもなって立替でもするのかな?”と言いながら、その先には何も無いようなので来た道を引き返していった。

仲間の一人は射的が大好きである。当然のように射的に嵌まった私達はそこの主と”何処から来たの?””えー、埼玉県の...”と何処にでもあるような世間話をはじめた。
”そこの工事中のホテルはどうしたんですか?どう見ても一等地なのに閉鎖されてるし。”と聞いてみた。
”あんた達知らないんだ?あのホテル去年火事になって沢山人が死んだんだよ。それっきり閉鎖だし、いろいろあって立替も出来ないみたいだし、お陰で寂れちゃって商売上がったりだよ。前にあの高台のホテルで部屋から飛び降りがあったときも大騒ぎで大変だったけど、今度のは酷かったなあ!”

”何だって?!”
”それって何処の部屋か知ってますか?”
”何て言ったかなあ?何とかの間とか言ってたけど忘れちまった。”
”あんた達何処のホテルに泊まってるの?”
”いや、その高台のホテルですよ。”

射的屋の主人は流石に不味いと思ったのか、それ以上は教えてくれなかった。

宿に戻る途中、”さっきの飛び降りの話、私達の部屋だったらどうしよーねー?”とか暢気な事をいってる。私は部屋に戻るのが嫌になっていた。宿に戻り最後に部屋に入ったが特別何も感じなかった。もう一度風呂に入り、窓から一番離れた布団に陣取った私は、それでも疲れていたらしくみんなが騒いでいる中何時の間にか寝てしまっていた。

翌日、荷物をまとめ部屋を出るときも含め私は結局窓には一度も近づけなかった。
確かなことは何も無いけれども、その後”ここには入っちゃいけない”と感じる場所には近づいていない。

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コメント

怖い・・・。管理人さん怖い体験多すぎですよ。
何もなかったからよかったけど私ならホテル変えてるかも。

投稿: hanaぽん | 2007年4月20日 (金) 21時53分

怖がってたのは僕一人だけだったし、確証も無かったから言い出せなかったんだよ。
それに今までの経験上、悪さをされたことは無いもんな、とか思ってた。
でも、実際あそこはヤバイかも知れない。そっちゅう伊豆に行ってるのに、それ以来、そこの温泉街には近づいてないものなあ。
でも、まだ他にもあるんだよなあ、僕自身はそんな非科学的なものは信じないほうなんだけどね。

投稿: フロの飼主 | 2007年4月20日 (金) 23時38分

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