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2007年5月17日 (木)

攻殻機動隊の電脳に見るGhostの正体について

作者が考えたGhostの正体は、実のところ良く解からないし作者本人が”こう言うもの”とも言ってはいない。唯、電脳、擬体(cyborg)化された人間とAI(Artificial Intelligence)のボーダーを”Ghostの存在の有無”と定義しているようではある。電脳を壊せば殺人だが、AIを壊すのは器物破損として扱っている。しかし、最終的にタチコマのAIにGhostの発生をちらつかせている。発現要素として、不確定要素と好奇心を挙げている。”記憶は個人にとって重要なものだけど、Ghostが無ければ唯のデータだ”とも言わせている。

タチコマの”誰かを守るために犠牲になる”と言う発想もGhost的な物言いとしているが、Richard Dawkinsの仮説としての利他的行動は生物が遺伝子機械として淘汰を勝ち抜くための自己複製子により規定された行動であり、それは取りも直さず生物の脳の持つ機能発現である。詰まり遺伝的要素を持たないAIには、本来持ち得ない発想の筈である。

意識とは何であろうか?情動とは?心とは?これらは全て脳が作り出す機能状態を指すのだが、実際に脳の中で何が起こってその機能を獲得しているのかは解かっていない。

中田 力氏の説に拠れば、中脳網様体の熱放射の恒常性が皮質ニューロンの定常的な自然発火を促す。これが意識の根源であるとしている。(少々簡略化しすぎた説明ではあるけれども)アルコールで酔った状態は、アルコールなどの揮発率の高い物質が脳に入ると熱放射の恒常性が変化し意識が怪しくなる。意識が熱放射に頼るのであれば、当然ゆらぎは存在する。

また、先ほどの中田 力氏の説に拠れば、”脳は、決定論的に働くが修飾可能なニューロンのネットワークと、非線形でゆらぎを内在するニューロンの最小機能単位との相互作用が、ニューロンの最小機能単位をなす構造を介してその結びつきを保ちながら動的に活動する装置である。ここから、こころが生まれる。”とある。
どうもこころの存在も非線形とゆらぎが肝のようである。そう考えると、感情もゆらぎの度合いがその起伏を左右するのかも知れない。

”脳の持つ実践装置と制御装置の関係は、線形ではない。”と考えれば良いのだろうか?
AIは基本的に線形処理である筈だが、”生体で無いと在り得ない非線形性とゆらぎを持った時にGhostを持った。”と考えるのだろうか?

物語の中では、電脳の構造を記してはいない。このため電脳が生体としての遺伝的特徴を保持しているかすら解らない。ここでは、AIとこころを持つ脳(電脳ではなく)を比較の対象としたけれども攻殻機動隊の作者が言うGhostとは、こころや感情と言った生体脳の持つ非線形性とゆらぎの結果として発現する脳機能を言うのではあるまいか?

参考文献
Richard Dawkins "The Selfish Gene"
中田 力 ”いち・たす・いち”
まあ、これだけではなく流体や熱力学、ニューロ、ファジイ、カオスと言った部類の本も参考にしていますが、引用している訳でもないし、これら引用をした2冊は面白い本なので載せてみました。
それから、攻殻機動隊は、以下のリンクで見ることが出来ます。
http://yakuyakou.blog69.fc2.com/blog-entry-159.html
http://yakuyakou.blog69.fc2.com/blog-entry-370.html

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