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2007年9月 4日 (火)

ラジウム温泉、トロン温泉、ラドン温泉の効能

よくこう言う名前の付いた温泉を目にします。効能は痛風、リューマチ、高血圧、神経痛などが言われているが、何故効果があるのかは今のところ解かっていないようです。226Raラジウム、222Rnラドン、220Rnトロンの中でラドンが主に気体で空気中に存在しているので肺から吸入されて体内に取り込まれます。ラドンはα崩壊だから体内被曝でα線を被爆します。さらに崩壊した218Poポロニウムは、α崩壊とβ崩壊で214Pbか218Atというように206Pbで安定するまで崩壊を繰り返してゆきます。ラドンの半減期は3.8日ですし、その娘核種もそれぞれ半減期がそこそこ長いので体の中で206Pbまで崩壊することはないかも知れませんがね。

温泉法の放射能泉の規定は111Bq/kg(水1kgあたり)で、療養泉の規定は113Bq/l(水1リットルあたり)ですが、何で片方は1kgでもう片方は1リットルなんだろう?どのみち水ならほぼ同じだとも言えるけど何でだろうね?Bqベクレルは、1秒間に1崩壊する放射能を規定するSI単位です。つまり、111Bqと言うことは、222Rnの原子111個が一秒間に崩壊して、218Poになり、111個のα線を出すということになります。例えば1時間風呂に入っていたらどの位被爆するのかは、データはありませんが高濃度のラドン吸入被爆による染色体異常や肺がんなどの発生率の増加は観察されていません。むしろ、ラドン温泉で有名な鳥取県の三朝温泉付近の住民の疫学調査による癌発生数は、島根県全体の約6割程度との報告もあります。三朝温泉のラドン濃度はちょっとデータが無いのですが、増富温泉(山梨)は160728Bq/l、池田鉱泉(島根)は58238Bq/lなんて凄い濃度の温泉もあります。

このブログを読んでくれる皆さんも医療被曝とかを怖がっているんじゃないかと思いますが、胸の写真一枚で0.1mSv位、被爆が多いと言われるCTでも腹部で6mSv位、頭部で12mSv位です。RI検査の中のGaシンチでの被爆量は、クエン酸Gaを1.11~1.48MBq/kg、成人には37MBq程度を投与します。この検査では、Gaの半減期が3.26日で尿中排泄時間が24時間で約1/3、残り2/3は骨や肝臓などの臓器に留まるから...なんて具合に計算してゆくと、おおよそ2.6mSv程度の被爆があります。Gaはγ線源ですので、線量効果比は1です。α線の線量効果比は20ですので、例えば増富温泉に1週間くらい居ると放射線量は4/1000くらいと見積もって放射線効果比の20倍を大雑把に掛けるてガリウムシンチの被爆から推定すると0.2mSvくらいでしょうか?(ちょっと計算が雑すぎますが、凄く少ないことを言いたいだけです。それから、外部被爆の効果と内部被爆の効果は1対1と言うわけではありません。つまり単純には比較はで来ません。)

自然放射線による被曝は、宇宙線や大地、食物から年間約1.2mSv、このほか世界平均だと空気中のラドンによる被爆が年間1.2mSvです。日本は空気中のラドン濃度が少し低くて両方で年間2mSvくらいの地域が多いようです。生まれてからこれまで毎年2mSv程被爆しているからといって特に何か起こるわけではありませんし、中国の奥地には年間6mSvを越える地域もありますが、その地域は長寿で有名だったりします。

さて、ここまで被爆が少ないと被爆による影響は、他の化学物質や生活習慣、遺伝等の因子により確認は不可能です。被爆の確率的影響は、どんなに小さな被爆でも確立として数値が残りますが信憑性は怪しくなります。宝くじは毎回100人以上の人が当っているはずですが、周りを見渡しても当った人を知らないですよね?当った本人が言わないのもあるでしょうが、当る確立はあってもあまりにその確立が低いと当りを確認できないようなものです。広島長崎の被爆者のデータ(世界中で大規模なデータは実はこれしかありません。)からは、200mSv未満の被爆者には具体的な障害が出ていません。ですから少量の被爆の影響は、具体的には良く解からないのです。

ラドン温泉などの効能は昔から知られているところです。具体的な証拠が検証されていなくとも、昔から人々が続けているようなことは大概正しいのです。ですからラドン温泉などは、その効能が必ずしもラドンの被爆に拠るものとの確証はありませんが、体に良いのだろうと思われます。

それでは、これらの少量の被爆の効果をどう捕らえましょうか?世の中には”放射線ホルミシス効果”なる考え方があって、少量のお酒は体に良いと言われるように、少量の放射線は体に良いという考え方です。これはまだ十分な議論もされてはおらず、また、証拠となるような疫学調査も行われてはいません。三朝温泉付近の住民の疫学調査は染色体異常や肺がんの調査のために行われたものですが、逆に全癌の発生率が低い結果が出ているのは興味深いと言えます。効果は本当にあるのかも知れません。

ATOMICA  http://www.atomin.gr.jp/atomica/keyword.htmlで三朝温泉を入れて検索してみてください。原子力研究所のこの辞書は大変役に立ちます。興味のある方は、色々調べられて便利ですよ。

何だか解かりやすく書こうと思ったらやたら長い文章になってしまいましたね。

少し補足を書きました。

ラジウム温泉、トロン温泉、ラドン温泉の効能の補足

放射線の量を測る難しさ

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