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2008年1月28日 (月)

日本の知力 2話

1面はサヴァンの話「封印された脅威の才」、2面は養老猛の「無我の境地」古来の知恵、だった。
サヴァンの意味は、残念ながら僕の持っている辞書には載っていなかった。ブリタニカも電子版で引いてみたが出てこなかった。だから、読売新聞の注釈の写しになります。

「サヴァン(savant) 賢者、博識などを意味するフランス語で、得意な能力をもつ知的障害者を指す。放浪の画家・山下清もサヴァンと見られる。物理学者アインシュタイン、作曲家モーツアルト、発明王エジソンなど、奇行やアンバランスな性格を伝えるエピソードに彩られた天才は多い。」

狭い分野で特異な才能を発揮する人を言うのだけれども、この話では思いつくことが沢山ありすぎて何から書いて良いものか迷います。

陣野秀雄先生(障害心理学、愛知教育大学教授)は、これらの正体を「記憶」であろうと言っているけれども、正しくそうなのだろう?読売新聞にはスティ-ブン・ウイルトシャー氏(イギリスの人気画家)の六本木ヒルズから30分東京を眺めただけで書いた細密画が掲載されています。人間の脳細胞数は約140億個とか言われるが、彼の描く絵をテクスチャで記憶していっても140億bit(脳細胞1個を1bitと見立てて)で足りるのか?と思う。もうちょっと違った覚え方をするのだろう?

人間の目は基本的に走査して物を見ます。細部を走査していって画角の端から端まで構図にずれが起こらない空間認識能も凄い。良く”写真のように物を見る”とか言うけど簡単に出来る訳ではありません。脳に浮かぶイメージの中から細部を走査するようなことは少しは出来るけれども、彼の画はその限界を遥かに超えているように思います。

顔認識ニューロンのようなニューロン一つで一人の顔を覚えてしまうような感じで広い画角の細部を埋めて行き全体を構図のずれが無いように記憶していくようなものを想像するけれども、実際のところはさっぱり解らない。

極端なデフォルメで有名なピカソもまた耳をペインティングナイフで殺ぎ落とすような奇行で知られますが、彼のデッサン力は、彼の若い頃の画が実証しているように凄いです。デッサン力は、描く能力のように思われがちですが実は見る能力なのです。(高校生の時、石膏像を木炭や鉛筆でデッサンしていたのは、形をきちっと見る練習をしていたのです。この経験は幸い現在の仕事で3次元画像を再構築する時やその診断で役に立っています。ぐるっと見ただけで形が認識できるのは、多分この経験が物を言っているようです。)
でも、どちらかと言うと彼の画はその色彩が驚異的です。彼の目には色がどんな風に見えていたのだろう?と思います。我々の見え方とはきっと違うのだろう?出ないとあんな色はとても出せそうに思えません。

最終的に1面は、仁平義明先生(認知心理学、東北大教授)の「だが、人間が作る社会は実に多様な能力を人間に要求する。大切なのは異なる能力間のバランスなのだ」と言う言葉で締めています。

この辺りの脳の能力ですら、バランスを取る能力を取るか、狭い領域の驚異的な能力を取るかのtrade offがあるのか?と思います。どうも人間だけでなく人間の脳も2兎は追えないようです。

2面は養老猛の「無我の境地」古来の知恵で、その中で、

”現代人は脳で考えたことを外の世界に投影し、意識を中心に人工物を営々と作ってきた。論理によって組み立てられたこの一面的な社会が「脳化社会」だ。文明、都市と言ってもいい。そこでは「脳も体の一部に過ぎず、無意識が人間の行動を支配している」という重要な事実を無視してしまっている”

と言っています。

「衣食足って礼節を知る」ように肉体的に満ちて始めて精神世界の話になる。本来多神教の東アジアの民族は、禅宗での「自我を捨てろ」との教えの如く、キリスト教などの一神教の「不変の自我」と言うものとは違う、無心の重要性を理解してきた。人間の知性は、体や無意識を含めた総合的なものだと、そこがサヴァンとは違うところ、と言っているようです。”頭でなくて体に聞け”とも言っています。

確かにキリスト教やイスラム教を含めた西欧の一神教の説く「不変の自我」(神の自我でも良いような気もします。)と八百万の神々を信じる日本人の宗教観の持つ「無心」とは、馴染みが悪い。日本の武道や宗教の教えを知る我々には、自然のおもゆくがままに身を任すほうが余程崇かしいと思えます。

”脳の自己認識と肉体との親和性”と言う記事でも書きましたが、”心にとって肉体は不可分な存在”と考える方がサヴァンの能力は解りやすいように思います。
ゲノムには、脳の自己形成法が書いてあるだけで設計図は書いていないと言われます。一般人の総合的な知性とサヴァンの得意な能力は、脳の形成の差なのだと理解すれば、やはり肉体あっての脳なのでしょう。

我々はサヴァンの能力に驚嘆し持て囃したりするけれども、二兎を追えない人間にとって、それぞれが隣の青い芝生なのかも知れません。

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コメント

たしか「バカの壁」にも似た内容がありましたね。でもこちらの方がわかりやすいです。
ほかの本では(それともNHKの驚異の小宇宙だったかな)視覚に障害がある場合、視力に使われない脳細胞が他の事に使われてる可能性があると言ってたような。
さて、ここで問題です。
私のブログのトップ画像を今日2箇所いじりました。1箇所はサブタイトル。
もう一箇所はどこかわかりますか(笑)

投稿: 如月 | 2008年1月28日 (月) 22時33分

うわっ!
そんなところに注意してなかったけど、サブタイトルが変わったのは解ります。前は”フラリっとな”とか書いてあったように思います。文字の色も白ではなかったと思うのだけど。”前傾”と言う字がもっとハッキリ見えてた記憶があります。写真のブライトネスが高くなった気もします。
開いた時に、全体的にページ自体が明るくなったような印象を受けたのですが、サイドバーの外側が黒だったような・・・写真が明るくなっただけのような・・・写真左の欄間がもっと暗かったような気がするので、コントラストを下げてブライトネスを上げたのでしょうかね?

ついさっき起きたのですが目が醒めましたw

投稿: フロの飼主 | 2008年1月29日 (火) 04時34分

お疲れで寝起きなのににつまんない問題で申し訳ないことでした(汗)
実はバイクの前にこの古民家カフェのメニュースタンドが立ってたのですが、ずーっときになってたのでそれを消したのです。それだけで全体が明るく見えるようになりました。
ごめんなさい、もうこんなくだらないことでお手間はおかけしません(..)

投稿: 如月 | 2008年1月29日 (火) 08時11分

如月さん

主婦ってのは、必要に迫られて早起きなんでしょうかね?
昨日は、体調悪くて早めに寝てしまったのですが、4時ごろ目が覚めたら眠れなくなってボーっとしながらも起きてPCの電源を入れました。何か思考しないと眼が覚めないのでちょうど良かったかも?^^;お陰で勉強が捗りました。

メニュースタンド、言われれば始めてみたときに”何だろう?”と思って見た気がします。(全然記憶が当てにならない・・・)

バイクの盗難は、盗むのに5分以上掛かるようなら諦める、なんて記事を読んだような気がします。929は屋根付きの駐輪場に前後をチェーンで留めてあります。駐輪場には929より実勢価が高いバイクが5台ほど止まっていますが、みんな”手を出す気にならない”ようなロックの仕方をしてますね。如月さんもハニーを取られないように気をつけて♪

投稿: フロの飼い主 | 2008年1月29日 (火) 08時25分

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