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2008年2月 9日 (土)

放射線の量を測る難しさ

話は、ラドン温泉の被爆を気にしている人が多いけど、ラドン温泉の放射線量を測るだけでも大変なんですよ、と言いたいだけです。だから出来るだけ簡素化して書きますし、当初から脱線しまくりそうな予感はあるのですが、ちょっと書いてみます。

一口に放射線の量を測ると言ってもそれはかなり多岐な分野にわたる難しい話です。
ラドン222Rnはウラン238Uの壊変系列に属しラジウム226Raから生成される希ガスで半減期は3.8日です。β壊変しますのでβ線の量を測ってやれば良いのですが、β線を測るには主に液体シンチレータと呼ばれる放射線測定器を使用します。(環境中のβ線ならGMカウンタを使うかもしれませんが、相手は基本的に温泉水ですから、液シンを使います。)

と此処まで書いた時点で”何それ?”だと思いますので、ちょっと脱線します。

一般の人たち(僕も一般人だと思いたいが・・・)は、放射線と放射能の違いも解っていない人が多いようです。
放射線は、電磁波と呼ばれるX線やγ線、粒子線と呼ばれる中性子線、α線、β線、重粒子線などを言い、放射能は放射線を出すことの出来る能力を言います。

ラジオ波やTV波、電子レンジで使われる10GHz辺りのマイクロ波、赤外線、可視光、紫外線なんかも電磁波で放射線の内です。
放射能を持つものは、放射性物質と呼ばれるものでウランやプルトニウム、ラジウムやラドンと言った放射性壊変の結果放射線を放出するものや、放射性同位体と呼ばれるような炭素14やカリウム40のような、安定同位体(炭素12、カルシウム40やアルゴン40)になるのにγ線やβ線を出すようなものを言います。
心配なのは、DNAなどの生体高分子(タンパク質やアミノ酸なんかそうですよね)に電離を与えられる放射線かどうかで、こう言うのをまとめて電離放射線と呼びます。X線、α線、γ線、β線、中性子線、重粒子線なんかを言います。身近な放射線としては宇宙線もそうですが、これは電磁波で立派な電離放射線です。飛行機に乗るとこの被爆が問題になります。(多摩六都博物館に電離箱が置いてありますので、宇宙線が抜けてくるのを直に見れますよ。バリバリっと軌跡が光ってそれなりに美しい。結構感動ものです。)

炭素14なんかは年代測定に使います。自然界には常に一定量の炭素14が存在していて生きてる間は常に還流しているので、体の中の炭素14の量は一定ですが、死んでしまうと還流が起こらず減少する一方になります。
炭素14はβ線を出しますので、その死んだものの出すβ線の量を測ってあげます。
炭素14の半減期は5730年ですから自然界の1/4だったら約12,000年前に死んだことになります。

β線は電離放射線ですので、ラドンが壊変してβ線が出る時、その軌跡に沿って電離を起こします。その時電離で光を発するもの(シンチレータ)を置いておいて光る回数を数えてあげれば、壊変した数が解ります。ラドンの半減期は3.8日ですから、例えば10,000個のラドン原子があったら3.8日間で5,000回光ります。ですから、単位時間に光った数で元々あるラドンの原子数を知ることが出来ます。

さて、かのラドン温泉ですが、温泉水1literとトルエンシンチレータを分液ロートに入れて良く振とう攪拌して暫らく放置します。ラドンはトルエンに良く溶けますので分離したシンチレータを測定バイアルに入れて測定します。4時間も経つとラドンは放射平衡になりますので5種類(ラドンの壊変生成核種218Po、214Pb、214Bi、214Po、それから222Rnが一定割合になります)を同時に測ることになります。
ラドン222Rnの同位体でトロン220Rnなんてのがありますが、半減期が56秒のトロンをどうやって測れば良いのかすら僕には解りません。
トロン温泉は一箇所だけ行った事がありますが、埼玉県北西部の方だった(多分寄居の方のゴルフ場のクラブハウスのようなところだった)くらいしか覚えていません。

やっぱり、"何のことやら?”ですよね。前に書いた記事で三朝温泉のラドン濃度は資料が見つかりませんでしたが、どうも400Bq/lのようです。

http://noraneko-furo.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_c27b.html

http://noraneko-furo.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_49b8.html

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露天風呂」カテゴリの記事

コメント

眠れないのでコメント書きw
ずっとなんでラドン温泉がいいのかと疑問でしたが、微量の放射線は細胞の修復を活性化させるのだ、とどこかで読んだ覚えがあります。
ほんと?
ゲルマニウムローラーを淡谷のりこさんが使ってましたが、あれも同じ?
効果が気になる中年女性より。

投稿: 如月 | 2008年2月10日 (日) 02時36分

如月さん
ゲルマニウムは良く解りませんが、
微量の放射線は、疫学調査の結果からはそう考えられつつあります。
ラドン温泉がらみの二つの記事でも書きましたが、オクスフォードで出た放射線被爆が将来ガンになる確率を出したデータより見方が偏っていません。
抗酸化機能の増強、DNA損傷の修復機能の増強、アポトーシスの活性化、免疫能の活性化などが理由として挙げられていますが、残念ながら確証は無いのですよ。これらは生体高分子の放射線障害の修復能そのもので現象そのものは確認もされていますが、ラドン温泉の効果としてあげて良いかはまだ解らないし、多分疫学調査以外では調べ様も無いかも知れません。

ゴメンなさい、ちゃんと答えにならなくて。
でも少ない量の放射線の影響はほとんど解らないのですよ。今、放射線影響研究所が大規模な疫学調査をしていますので、そのうち何か知見が出てくるかも知れません。

投稿: フロの飼主 | 2008年2月10日 (日) 03時00分

もともと放射線は自然界で降り注いでるから、微量な放射線の影響を調べるのは難しそう。
思い出しました。秋田県の玉川温泉に通ってらしたお客様から聞いたんでした。
全国から癌患者が集まってるそうですねえ。
行かれたことがありますか?
あと、ここで質問するのもアレなんですが。
大学から近所の病院にとレントゲン写真をプリントして貰ったんですが、退院時に返されたんです。
その所有権は誰になるんでしょうか?
もし私に所有権があったとして、ブログで公開するのはマナー違反なんでしょうか。
こんな場所で申し訳ないです。教えていただけますか。

投稿: 如月 | 2008年2月10日 (日) 12時45分

如月さん
玉川温泉は知っています。(行った事はありませんが)あれは、多分岩盤浴で一定時間体を高温に保つことで効くのではないかと推測してます。がん細胞の一部(全部じゃありません)は、体温が高いのに弱いのですよ。温熱療法(ハイパーサーミア)なんてのがあるくらいなので。
>大学から近所の病院にとレントゲン写真をプリント
には、2種類方法があると思います。
1つは、診療で使ったフィルムをそのまま貸し出す場合。この場合、フィルムは大学病院で保存義務があるので返さないと大学病院の医療法違反になるでしょうね。(獣医師法ではどうなのかハッキリは解りませんけど、普通の医療法ではそうです。)
2つ目は、フィルムのコピーを患者さんからコピー代を貰って提供する場合。この場合、診療情報提供の料金に含まれる場合もありますし、別途に取る場合もあるようです。この場合は、患者さんの所有で良いと思います。
ブログで公開するのは、人間だと個人情報保護が絡みますが、(例え家族であっても本人の同意がないと違反になるでしょう。)ノアちゃんの写真でしょう?
診療情報提供された情報が、ブログで公開された例があるのか解りませんが、法的には問題なさそうですが、う~ん、大学病院の先生達はどう思うかなあ?術後の写真でしょう?手術に自信があって宣伝効果があるなら好意的に見てくれるでしょうけど、自信が無ければそうは思わないでしょう?それに慣例化すると”さらし”になりそうな気もしますので如何なものかと。(すべての人が好意的にブログに載せるとも限りませんので。2chみたいな事もあるので・・・)
思い切って聞いて見たら如何ですか?これまで感謝の意を伝えているなら、好意的に判断してくれるのではないかと思いますよ。多分そんな相談を受けたことも無いでしょうけどね。(笑)

投稿: フロの飼主 | 2008年2月10日 (日) 13時34分

うーん・・・。
コピーを作って渡されたので、考えてみればその代金も支払ってるから私のものと言えますね。
ただ、その・・・公開はやめときますw
大人の物差しで考えると、デメリットはいくつもありそうだけど、メリットはあまりに小さいから。
揉めることはあっても喜ばれることは無さそう。
とても綺麗な写真で、先生の腕前がしのばれるのですが、あの手術は国内でもトップクラスのあの病院でもまだノアで4例目なんです。
その写真を公開するといろいろありそう・・・。
面倒な質問に答えてくださってありがとうございました。

投稿: 如月 | 2008年2月10日 (日) 20時34分

如月さん
犬のTHRってまだそんなに症例数が少ないのですか?知りませんでした。
人のTHRでも転んで外してくる人がいますので、気を付けてあげてください。

投稿: フロの飼主 | 2008年2月10日 (日) 20時41分

こんなにコメント書いていいものかどうか悩みながら書いてます(汗)
セメントを使う方法の手術はあそこで60例。
今回の非セメント方式のはノアで4例目、だそうです。
保険効かないし、その後のリスクもあるし。
あ、こんなコメントにレスしなくていいですって。お忙しいのに(汗)

投稿: 如月 | 2008年2月11日 (月) 11時49分

整形領域は素人に毛が生えたくらいなので、良く解りませんが、セメントを使わない方に進んでいるのは、臼蓋の作りが良くなったのもあるのでしょうがそれなりに理由があるのでしょう?
保険効かないと凄い値段を想像しますが(人と同じなら)、如月さん頑張って稼がないとね。(笑)
取りあえず今のところ合併症も無く、良かったですね。

投稿: フロの飼主 | 2008年2月11日 (月) 18時09分

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