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2010年11月27日 (土)

Solid State Societyで描かれる子供の虐待死は既に現実

攻殻機動隊のSolid State Societyを見ただろうか?
ネタばらしになりそうなので、見た人にしか解からない程度の前振りにしようかと思いますが、物語の中で語られる12歳未満の虐待死が5万に超える、と言う事態は、そろそろ身近なものになりつつあります。

厚生労働省の報道発表資料の中で、児童虐待相談対応件数等及び児童虐待等要保護事例の検証結果(第6次報告概要)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000g6nl.html
を見ると、死亡例64例に対して、出頭要求例が21例と、これらの数字を単純に比較するわけには行かないけれども、児童相談所が把握できていない事例で死亡者が沢山出ているような印象を受ける。

1 児童相談所における児童虐待相談対応件数
  平成21年度中に、全国201か所(注)の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は44,210件(速報値)で、これまでで最多の件数。前年度の42,664件から1,546件の増加となっている。
(注)児童相談所は平成22年5月6日現在で205か所となった。
2 平成21年度に実施された出頭要求など 
  平成20年4月より、長期間、子どもの姿が確認できない家庭には、裁判所の許可に基づく臨検・捜索ができるようになるなど、新たな制度が導入された。
  平成21年度におけるこれらの実施状況は次の通り。
 (1)出頭要求  21ケース(対象児童25人) 【28ケース(48人)】
 (2)再出頭要求  2ケース(対象児童 2人) 【 3ケース(5人)】
 (3)臨検・捜索  1ケース(対象児童 1人) 【 2ケース(4人)】
                               【 】は20年度
3 子ども虐待による死亡事例等の検証結果 
  児童虐待防止法に基づき、虐待による死亡事例など重大な事例の検証を「社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」で実施しており、このたび第6次報告を公表。
  対象は平成20年4月1日から平成21年3月31日までの事例。
 (1)対象期間に発生または明らかになった死亡事例は心中以外が64例、67人
 (2)死亡した子ども(心中以外)の年齢別では、0歳児が39人(59.1%)と最も多く、うち0か月児が26人(0か月児の66.7%)と集中している。

児童虐待相談対応件数の推移は18年までのものしかないけれど、近年増加率が高くなってきている。
これらの情報は、厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/07/h0710-3.htmlのページから引用しています。
児童相談所の数は少ないこととも言われるし、死亡例のように必ず警察沙汰になるものでも児童相談所が把握してないような報道を耳にすると、統計に現れない児童虐待は、統計数に対してどの位の倍率で存在するのか想像も付かない。

平成18年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数37,343件(速報値)

参考】 児童虐待相談対応件数の推移
年 度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度
件 数 17,725 23,274 23,738 26,569 33,408 34,472

児童相談所の数もそうなのだが、社会が子供を守ろうと言う意識がそもそも足りないんじゃなかろうか?
我々は、トラブルを避けるために他人の家の事には大概口に出さない。近所で何か大声で怒鳴りあうような声が聞こえても、警察が呼ばれるような事も無い。都内などでは、こういった場合”うるさい、近所迷惑”と言った理由で警察が呼ばれることはあるけれども・・・
騒ぎが大きくなるとけが人が出るんじゃないかとか、事件に巻き込まれている人がいたら大変だとかではなく、自分が迷惑だというだけなのだ。
特急列車の中の強姦騒ぎを、他の乗客が黙って見ていた、なんて世の中だ、自分に降りかからなければどうでもいい、なんて人間が大多数でも不思議は無いのかもしれない。
現在住んでいる所には、まだ町内会なんてものが存在していて、流石に隣に誰が住んでいるかくらいは把握している。残念ながら昼間家に居ない僕には、何歳でどんな仕事をしているとかの情報は持ち合わせていないけれども、近所で出会えば認識できて挨拶するくらいのことはする。何かあれば相談にものるし、相談もする。でも、隣のアパートに誰が住んでいるのかは解からない。大声で子供を叱る母親の声は聞こえるけれども、子供を殴るような音とかが聞こえなければ、児童相談所に電話をするような事はない。普段親子連れで出かけるところとかを目にするから、まあ、大丈夫なんだろう?位に思っているのもある。
そもそも親の権利が強すぎて、回りは口を出せないのだ、それは児童相談所でも同じことが言える。児童相談所が把握していても虐待を止められないのは、こう言った事情による。
アメリカとかでは、親の権利が制限されている。12歳未満の子供を家に一人にしては行けない法律や、地域の通報、警察の介入、保険師のような職種の強制力の強さなど、日本とは大違いだ。
親だからと言って何をしても良い筈が無いのは日本でも同じだけれども、”自分の子供の事に他人が口を出すな!”と言う親が沢山いる日本では、相当強力な法的サポートが無いと、誰も通報しないし、注意もしない。児童相談員も殆ど何の権限も無い。
こう言ったニュースを聞くと、”児童相談所は何をしてる!”、”行政は親の権利を制限しろ!”とかいう人が出てくるが、その人本人も行政が自分に介入してくるのを嫌うだろう?何か全て他人事なんだ。
もともと人は、個人では子供を育てられない、と言われます。これまで解ってきてる人間の生活は、太古の昔から集団生活です。子供は多くの母親に見守られながら育つ。その中で社会性を身に付ける。核家族化され、特に12歳未満の子供の教育に大して役に立ちそうも無い男も子育てに深く掛かり始めている。母親の一部には子育てに向かない人が居るようだ。父親の場合は、もうちょっと比率が高いか、自分の子供と言う認識が低いのか、母親よりも更に子育てに向いていない人間が多いように思える。それは太古の昔から変わらないのではなかろうか?集団がそれをサポートしてきたのだろう?と考えられるが、現在のそれは、核家族化、他人への無関心が阻んでいる。法も未整備で社会として子供を守る体制にも無い。
核家族化の推移と児童虐待の数字が必ずしも噛み合わないのは、どういう意味だろうか?
一つの推測は、児童虐待を起こしている親達の世代が、核家族の環境で育った世代だと言うことだろうか?彼らは、家族の中で子供が育つ経験が無いのだ。人は物事を初めから上手く出来る訳ではない。増して経験の無い人にとって、それはかなり難しいものになろう?
下のグラフは、http://www.garbagenews.net/archives/1344618.htmlから引用しています。
↑ 種類別世帯数推移(千世帯、1968年~2008年)
↑ 種類別世帯数推移(千世帯、1968年~2008年)

児童虐待を取り巻く環境は、良い方向に向かう可能性が低い、としか思えないような統計しか出てきません。日本の拙い民主主義がこのまま手を拱いて何もしない間に、状況は悪くなる一方のように思えます。攻殻機動隊が描かれる40年後は、核家族の4世代目や5世代目が子育てをする頃でしょうか?仮に核家族化が児童虐待の温床であるならば、起こる確率はどんどん増えていくのだろう?と思えます。それならば、年間5万の無意味に失われるGhostもあながち多すぎる数字とも思えません。攻殻機動隊スタッフの創り出す単なるSFとは言えない現状が、世の中には既に蔓延しつつあるだろう?と僕には思えます。

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