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2014年5月18日 (日)

忘れて貰う権利と情報の解釈のスキル

何時ものように新聞ネタですが、Nikkei.netにこんな記事が載っていました。

[FT]個人情報裁判、グーグル敗訴が意味すること
2014/5/15 7:00 ニュースソース 日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK14031_U4A510C1000000/?n_cid=DSTPCS013

内容としては、Googleが欧州司法裁判所で個人情報の削除を巡って敗訴した件を、今後の検索エンジンのあり方と公益性と言った観点から、コンテンツの検閲と公益の減損の結果として表現と情報の自由の権利を阻害する危険性について論じている。(と思う・・・)

欧州に存在するらしい「忘れて貰う権利」は、「表現の自由と国民の知る権利」とどう見てもぶつかる。

名誉棄損や嫌がらせのような投稿、過去の暴露などに飛びつく輩が居て、それを利用して利益を得ようとする犯罪グレーゾーンのような行為に対して、読者が公正な解釈をするスキルを持てば、無闇な検閲や公益を阻害されることも無い。

人類は今更、現在の情報検索性を捨てることは出来ないだろう?
だとすれば、「忘れて貰う権利」と「表現の自由と国民の知る権利」の衝突は、どこかに折り合いを付けなければならない。

麻木久仁子さん中傷、接続業者に発信者の開示命令 静岡地裁浜松支部
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2703B_Z20C11A5CR8000/
のNkkei.netの記事に触れて、「この判決の意味は匿名性は判決で失われると言うことだよね」
http://noraneko-furo.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-6035.html
と書いたけど、幾ら匿名であっても根も葉もない中傷記事を載せれば、誰が書いたのかは裁判所命令で公表され名誉棄損で訴追される。
この場合は、中傷が根も葉もないか事実に基づいているのかが争点になり、事実に基づいているのであれば削除要求は不当であると判断されるであろう。

今回のNikkei.netの記事に載っている事例は、Googleの検索に上がってくるコンテンツは事実であるが、自分の不名誉な記録の削除をGoogleに求め裁判を起こしている。しかも欧州司法裁判所で勝訴してしまった。これは相当面倒くさい。

自分の不名誉な記録とかならまだ個人のプライバシーの範疇に入るような事かも知れないが、過去の犯罪の記録の削除要求ならどうであろうか?

例えば、性犯罪者は再犯性が高いと言われるが、アメリカでは住民に性犯罪者であることが知らされる。それは個人のプライバシーより再犯による被害者の権利が優先されているからであり、公益性が高いから許されるような行為と言える。これはかなり極端な例だが、過去に不正を犯した、もっと譲って、忘れたい若気の至りを10年も経って掘り起こされたい人は居ないだろう?そう言った場合、Googleの検索エンジンは、悪意のある検索者に不当に情報を与える道具になる。

一方、個人のプライバシーの問題と称して過去の不都合な事実を隠ぺいしたい者が、次々とコンテンツの削除要求を出して削除されてしまったなら、表現の自由や情報の自由は激しく損なわれる。

出版物の回収命令が実際には機能しないように、電子情報の拡散性についてGoogleが責任を負わされてしまうような事態になれば、検索エンジン自体が機能不全になる。情報を検索エンジンに載せる前に一々情報内に載る個人の許可を得なければならないのであれば、概ねの人は同意しないだろう?特定秘密保護法のように公開する事で公益性が失われるような事実に対して隠ぺいされる事だけでも「国民の知る権利」を阻害しているが、載せるかどうかまで検閲が入るなら「表現の自由」すら奪われる事態になる。

世界中の情報を個人レベルで自由にハンドリングできるInternetと検索エンジンの出現は、産業革命のようなものだった。文化を変えてしまうほど便利なものを我々はもう手放すことは出来ないだろう?
忘れて貰う権利は、解らないでもないが、未来にやり直すことは出来ても過去を消すことは出来ない。そんな事は誰にでもある。
根も葉も無い中傷や事実誤認は、裁判所の認定(これは簡素化が必要であるとは思うが・・・)により削除されるべきだが、それが事実であるならば、消して欲しくても消されるべきではない。
我々利用者は、悪意でそれらを利用する者を排除する寛容を持つべきなのだ。

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